5月13日午後11時40分。
ジャズドラマーの日野元彦さんが、肝不全で亡くなられました。最後に演奏したのは、1月18日のアルフィーでし
た。 その時、トコさんはバイオリンの寺井尚子さんの、CD発売記念のコンサート中でしたが、調子が悪かったらしいので、(次の日から旅に出る様
だった)「DUOでやるのでトコさんは、休んで下さい」と容子さんに言っておきましたが、2セットめの最後の3曲を叩いてくれました。終ってから
「大丈夫ですか?」と聞くと「胃が痛くて、寝ていると下から胃酸が、こみ上げてくる感じがして、夜も眠れない」と言っていました。そして「明日
病院に行って、検査する」と言いすぐに帰りました。その後すぐ入院してしまい、旅の方は村上寛さんがトラ(エキストラ)で行きました。 2月に病院
にお見舞に行き、メーザーハウスでも一度会いました。2月の初めに「もう手術はしないでドラムを叩かせた方がいい」という事になって、トコさん
は自分のCD発売のライブをやり、タップまで踏んだそうです、凄い精神力だと思います。その頃病状は早ければ3ヶ月、もって半年と言われていま
した。その後4月にはメーザーハウスに2回ほどレッスンに来たそうです(新入生のために)僕は4月・5月と旅やレコーデイングが4件あって、病院
に行けませんでした。5月11日はアルフィーで米木さんとDUOでした。お客さんは6〜7人しかいなかったのですが、ドラムセットがセッティングされていて、ライトアップされ、それがすご
く生々しかったです。米木さんと二人でギャラの一部をトコさんに渡そうと力武君に封筒を渡しました、かおりちゃんに「トコさんどう?」と聞くと「今日から面会謝絶です、一睡もできない日が
続いています」と言われました。その2日後でした、僕は土岐さん、米木さんと古河のアップスで演奏していて終ったのが、夜の11時30分過ぎでした、演奏が終るまで待っていてくれた気がし
ます。
トコさんと演奏し始めたのは10年くらい前で、その頃僕は松山千春さんのレコーディングやコンサートを全部やめて、ソウルやブルースなどのセッションも、つまらないなぁ〜と思って
いた頃でした。土岐さんが「アルフィーでジャズのセッションをやろう!」と言ってくれて、それで、容子さんとトコさんが見に来たのです。僕もそろそろちゃんとJAZZをやろうと思っていま
した。それから、ずっとジャズ・ピアニストとしての生活が始まりました。先ず、トコさんと紅介さんに、伊藤君子さんのBandをやってみないか?と言われました。その後、村上寛、向井滋春、
鈴木良雄、大野俊三、中本マリ、ケイコ・リー、チャリート、日野皓正、渡辺貞夫の皆さんとも何度か仕事をしました。トコさんに会っていきなり日本のジャズ界のトップの人達とばかりと演奏す
る様になりました。録音のほうは、CDを4枚、トコさんと作りました。土岐さんの「The Good Life」の"My Funny Valentine"でのピアノソロの後半広がっていくところで、プレイバックを聴き
ながら、トコさんが「ここがいい!」と言ってくれたのが、すごく嬉しかったです。
トコさんのアルバム「HIP BONE」/ セイリングストーンというバンドで、僕はハモンドオルガンを弾いていま
す。僕とトコさんでバンドのサウンドをささえていました。リズムはファンクなのですが、トコさんは「中身はJAZZだ!!」と言っていたのが印象的でした。坂井紅介の「TRIP」のトコさんも強
力でした、録音であんなに、ぶったたくとは思っていませんでした(特に"TRIP")。そして僕の「TEARS RAINED DOWN」どれもいいCDです。トコさんは「大石の事は、日野ファミリーの一人だと思
っている、こうした方がいいと思った事はすぐに言うから、俺にも何かあったら、すぐ言ってくれ」「一緒にやる事が少ない時でも、大石どうしているかなぁ〜とか、今度アルフィーで聴いてみよ
うとか、思っているから」旅先とか休憩中でも、こうしたら良いとか、あれはイモだとか、よく言われました。「俺も血の気が多い方だけど大石は俺以上だから...というのが口癖でした。僕も
何だかんだ言われると、口惜しいので、次のステージとか、次の日ではそのことをクリアーしていきました。その度に、ドラムの隙間や、後ろにのけぞって笑顔で「イエー!」と言ってくれたの
が、すごく嬉しかったです。「ジャズ・ミュージシャンは、一生勉強してしんでいくんだ」とも行っていました、今年に入って、何度もトコさんが夢に出てきました。今までトコさんに言われた事
を一つづつ思い出し、これから先も演奏をしていこうと思います。
長々と書いてしまいました。
自分の事もたくさん書きたかったのですが、
今月末には書こうと思います。(イースト・バウンス、城戸夕果、神谷えり、
CM〜のレコーディングの話)
また、見て下さい。 それでは。